過去は捨てていくモノ

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 その有名人の名前も確かに聞いたのに、全然思い出せない。  親友であるゆりの趣味や嗜好が頭に入らないからって、決して彼女自身を軽んじているわけではない。  でも、本当に興味のない事柄が頭に入らないものはどうしようもない。 「……でも、大丈夫なの? あたし、その人のこと何も知らないんだけど……」 「あたしが知ってるから大丈夫!」  えっへん、と胸を張りながらゆりは何度も頷いた。  あたしはそれを見ながら、早く終わればいいな……とこっそり溜め息をついた。  ゆりに付き合うこと自体は何の不満もないけど、興味のないイベント程退屈なものはない。  興味がないことに対して申し訳ないとも思うし。  でも、まあ今日はゆりの隣で時間を潰すつもりでいればいい。  そんな風に考えていた。 .
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