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ボロボロと、涙がこぼれる。
顔を上げられずに、俯きながら口唇を噛みしめて、ひたすら歩く。
さっきから多分もう2駅分くらいそうして歩いていた。足が痛い。
でも、このまま家には帰りたくなかった。
泣いて赤く腫れ上がる肌に、しんしんと冷え込む真冬の風が容赦なく吹き付けられて、ヒリヒリと痛い。
泣きやむことができなくて、次から次へと零れ落ちる涙を手の甲で拭った。手袋をしているせいで余計痛い。
それでも、あたしは終わった恋が惜しくて泣いた。
だって、初めて好きになったひとだった。
高1の時から、望んで望んでやっと叶った初めての恋。
初めてのデートも、初めて手を繋いだのも、初めて抱きしめられたのも、初めてのキスも。
……そして、初めて全てを許したのも、立花先輩だったのに。
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