偶然の遭遇

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「それじゃあ、出発するぞー」 「「「はぁーい!」」」 ――自動車。 それは、人類の英知が生んだ高速の移動手段。 しかし、それには代償がある。 ―お金? たしかに高いけど、違う。 ―排気ガス? 間違ってはいないけど、今は違う。 ―車酔い。 そう、車酔いだ。 これは、俺もそれに含まれるが……一部の人には耐え難いものだ。 何もしてなくても胃からモノが出てきそうな感覚。 やば、説明してたら…… 「…………げぼぢわりぃ」 「「もう!?」」 アリサとすずかが揃って驚く。 いや、無理だって。 冗談抜きで。 「まだ3分経ったか危ういくらいよ?」 「ねぇ、なのはちゃん。ナギくん大丈夫なの?」 「うん。車に乗るといつもこうだから」 「うぅ、なのは……酔い止め」 「ちょっと待ってて……」 なのははそう言い、バッグを漁る。 というか元を辿れば、俺を強制連行したなのはが悪いんじゃないか? まあ、確かに俺以外の皆で行っちゃうから仕方ないけどさ。 「はい、ナギくん」 「……さんきゅー」 両手で抱えているリュックサックの側面から水筒を取りだし、蓋にスポーツドリンクを注ぐ。 そして、なのはに手渡された2錠の薬を口に放り込み、飲み物を飲んで、呑み込む。 喉を潤すのと同時に、吐き気を催す。 「うっ……」 セーフ。 これでなんとかなるだろう。 あとは寝るだけだ。 俺は、三人娘と高町夫妻の賑やかな会話を聞きながら眠りについた。
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