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「もうこりごりだ! どうして人間なんかに従う事におびえながら過ごさなければならない! あんなところ、消えてしまえばいい! ……そうか、消せばいいのか……そうすれば自由に……」
水色の羽の大きな鳥。その周りは水浸しになっていて、みんなが大きく距離をとっていた。
「やめろカイバード。あの森が嫌なら他の森に行けばいい。学園を消すなんて考えはやめるんだ」
「なんだお前……なぜ俺の言葉がわかり、お前の言葉がわかるのだ!」
「わかったら教えてくれよ……! ビータ!」
襲ってきたカイバードをよけて、ビータ……雷の精霊を呼んだ。水属性には雷属性だ。
「ダン! 学園とやらはどうだ?」
「ビータ、あいつを気絶しない程度に行くぞ」
「楽勝さ!」
「“サンダーベール”」
雷がカイバードに直撃して……地面に落下した。
「あっ、やりすぎたかも……」
駆け寄ると、意識はあるようで、辛そうに顔を上げた。
「すまん、大丈夫か?」
「人間に心配される程ではない……俺は行く」
「だめだ、傷が広がる! ファリ」
「はい! どうしましたか?」
「こいつを治してやってくれ」
「わかりました」
ファリは水の精霊。精霊を一匹ならまだしも、二匹なんてこんな所で呼んだら目立つだろうけど、使い魔の中で治癒が得意で、ここに呼び出せるくらい小柄なのはファリしかいない。
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