落ちこぼれ

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 大きな赤レンガの建物と、その背後に広がる小さくない森。  塀に囲まれた場所と森全体がこの学校の敷地らしい。  少し離れたところには寮である二つの塔があって、そこに大勢の人たちが集まっていた。  その全員が俺と同じ新入生。荷物を管理人さんに預けて、同時に寮の部屋番号とクラスが伝えられるらしい。  部屋番号は三○二でクラスはB組……。  確か寮は十階建てでエレベーターはなかったはずだから、三階は幸運な方か。  そう考えながら、校舎に向かう。五分程度でたどり着いたクラスに入ると、ある人物と目があった。  思わず息を吸って止めてしまう。なにも言葉を交わすことなく目をそらし、黒板に書かれた“席自由”の文字を見つけた。 「席自由って……そう言われると……」 「全くその通りだよな」  思わぬ返事が返ってきて、びくっとしてしまう。 「あっ、すまん、驚かせたな。俺、レオ・カナレルド。よろしくー」 「ダン・シルガ……です。よろしく」  村の人たち以外でナチュラルに話しかけられることが久しぶり過ぎて、レオと名乗った男の子を見る。  焦げ茶色の髪を邪魔にならない程度の長さに伸ばした長身の人。つり目気味の目が俺の目をじっと見据えていて、少し怖い。
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