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「おい、落ちこぼれ」
最初目が合った奴に話しかけられて、ため息をつく。
「なんだよ……」
「レオ、いいよ」
「トラン君、学校でもダン君をいじめるつもり? なにかしたら許さないよ」
「ユラは黙ってろよ。そこの二人、教えてやるよ。そこの奴、魔法使えないから」
金髪を肩まで伸ばした男子……トランを睨みつけると、トランは鼻で笑った。焦げ茶の目が、蔑むように座った俺を見下ろしてて、怯んでしまう。
「どうせあんな奴らがいないと……」
「トラン君!」
ユラがトランの言葉を遮って、トランがびくっと口を閉じた。
「ダン君を悪く言うのはやめて。昔は……」
「黙れ。勝手に言ってろ。俺はお前らが嫌いだ」
トランがそう言い残して元いた場所に戻っていった。大きく息を吐いて、硬直を解く。
「ダン君、気にしちゃだめだよ。訓練所の時はともかく、学校だと表立ってはなにもできないと思うから」
「ごめんね、ユラ……」
「いつも言ってるじゃん。謝らないでよ。私はダン君を守ることを苦に感じてないから」
レオたちが不思議そうな、それでいて不安そうな顔をしていて、苦笑いした。
「本当に使えないのか?」
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