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部屋に入って、リビングに荷物が置いてあるのを見る。
「荷物片付けるか……」
あらかた片付けて、リビングの中心に立った。テーブルは端に置いてある。
「フラン、おいで」
つむじ風が起こり、止んだ時には真っ白な毛並みに、額に黒い三日月模様のある大きな狼が現れていた。
フラン……ムーンウルフ。魔物の中でも最上位の強さを誇る魔物で、フランは俺の使い魔だ。
俺は、ずっと小さい時から魔物と会話ができた。普通なら、使い魔にならないと話すことは出来ないはずだけど……。
この能力の他にも、簡単に使い魔にすることが出来て、使い魔がそばにいればその使い魔の属性の魔法が使えるようになるし、使い魔の強さによって俺の属性の強さも決まる。フランなら、風、水属性のほとんどの魔法が魔力がある限り使える。使い魔を呼んでいても、魔力を消費する事もないから、俺はかなり特殊。
フランは俺が六歳の時に出会い、使い魔と言う名の“友達”となった。今では、たくさんいる使い魔の中でも一番信頼できて、一番一緒に過ごす時間が長い。
「ダン、どうだ? 学校は楽しいか?」
甘えてきたフランをなでながら、ソファーに座った。
「友達ができたよ。でも……トランと一緒だった。バラされるのだけは勘弁だな……」
「あいつなど、私が口出せぬようにしてやれるのに」
そう言って鼻を鳴らした。
「そんなことしたら、トランが大人に言いつけて、フランが殺されるよ。適当にあしらえば大丈夫」
「しかし、何かあったらすぐ言うのだぞ。あいつは訓練所の時からいろいろやっていたからな」
その言葉に頷いた。 本当に心強い。
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