ユラと使い魔

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 開け放ったままの窓からダン君の部屋に入って、フェルーから降りる。 「この子にありがとうと伝えておいてくれるかしら?」  眠ってしまったダン君を見ながらフェルーが言って、頷く。 「ダンはフェルーが凄く感謝してること、知ってるよぉ」  背からダン君をベッドに降ろして、頭やくちばしを使って、器用に中心にダン君を寝かせて布団をかぶせたボルガが言って、フェルーは首を傾げた。 「ダンは魔物のことはお見通しなんだよぉ。隠し事出来ないもん」 「ダン君の使い魔たちがダン君に隠すことなんてあるの?」 「ないけどねぇ」  さらっと言われて、私とフェルーは笑った。 「じゃあ、フェルー、帰っていいよ。流石にそろそろ魔力危なくなってきちゃった」 「わかったわ。今日は本当にありがとう」 「じゃあ僕も帰るねぇ。ユラちゃん、バイバイ」  二匹が帰ると、一気に静まり返った。  ダン君のかすかな寝息が聞こえてそちらを見ると、かわいい寝顔にとくんと心臓がはねる。  トラン君といざこざがあってから、魔物とばっかりお友達になって。私にさえ心を開いてくれなかった時期もあった。  けど、学校に入学してからのダン君はなんだかいきいきしてる。  守られるのはもう止めたいって言ってた。  ーーでも。私の気持ちは変わらない。これからもずっと。 「ダン君は私が守るよ……」  ダン君の顔にかかっている黒い前髪をよけてあげて、そっと呟いた。
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