4053人が本棚に入れています
本棚に追加
/239ページ
開け放ったままの窓からダン君の部屋に入って、フェルーから降りる。
「この子にありがとうと伝えておいてくれるかしら?」
眠ってしまったダン君を見ながらフェルーが言って、頷く。
「ダンはフェルーが凄く感謝してること、知ってるよぉ」
背からダン君をベッドに降ろして、頭やくちばしを使って、器用に中心にダン君を寝かせて布団をかぶせたボルガが言って、フェルーは首を傾げた。
「ダンは魔物のことはお見通しなんだよぉ。隠し事出来ないもん」
「ダン君の使い魔たちがダン君に隠すことなんてあるの?」
「ないけどねぇ」
さらっと言われて、私とフェルーは笑った。
「じゃあ、フェルー、帰っていいよ。流石にそろそろ魔力危なくなってきちゃった」
「わかったわ。今日は本当にありがとう」
「じゃあ僕も帰るねぇ。ユラちゃん、バイバイ」
二匹が帰ると、一気に静まり返った。
ダン君のかすかな寝息が聞こえてそちらを見ると、かわいい寝顔にとくんと心臓がはねる。
トラン君といざこざがあってから、魔物とばっかりお友達になって。私にさえ心を開いてくれなかった時期もあった。
けど、学校に入学してからのダン君はなんだかいきいきしてる。
守られるのはもう止めたいって言ってた。
ーーでも。私の気持ちは変わらない。これからもずっと。
「ダン君は私が守るよ……」
ダン君の顔にかかっている黒い前髪をよけてあげて、そっと呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!