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ニノは俺のバスローブの紐を解いてはだけるけど。
――寒いよね?って。
毛布を上から掛けて、隣に横たわって抱きしめてくれた。
ニノがこんなにも俺を大事にしてくれるって思うだけで、
好きって感情と涙が、止め処なく溢れてくる。
冷たかったベッドの中は、
抱き合ってるうちに静かに温かくなってきて。
俺の中で凍っていた感情まで溶かされてくみたいだ。
ニノは、ずっと抱きしめて髪を撫でてくれる。
耳元で。
「――ホントはね。颯ちゃんに触れられないのがずっと。もどかしかった」
欲しがる時間が焦れるほど長すぎたから、今こうしてるのが信じられない。なんて言うから。
「コレでも、信じてくれないの?」
軽く触れるだけで、電気が走るみたいに甘く痺れる唇。
身体が思わず震えたから、気づいたニノが俺を抱く腕の力を少し強めてくれた。
――好きな人とするキスって。
それだけで逝きそうになるんだって。今初めて知った。
「――涙味?」
「何でだろ…嬉しいのに、涙が止まらない」
ひとしきり泣いて落ち着いたけど、濡れた目を見られて凄く照れくさい。
「ね…――颯ちゃん。俺のせいだって自惚れていいんだよね?」
でももう、俺の事で泣かせたり、しないよ?って。
ニノは俺の涙を吸い取るように、瞼に口付けをくれた。
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