the Love Bug(ルン×壱成)

4/15
前へ
/129ページ
次へ
 「オハヨ」 今日も楽屋でコーヒーを飲みながら、新聞の社説を眉根寄せて読んでた颯君に声をかけたら。 「――あれ…コノルン今日何だか気合十分…って感じだな」 どした?って。紙面から目線を上げて俺の顔を確かめた。 「うん…こないだ颯君に相談してから初めて、アイツと一緒の仕事だからさ」 ニノとは普段からメールも電話もそんなに頻繁にしてないから。 『――お前らドライだな』 時々ほんとに付き合ってるのか?って疑いたくなるよ。ってこの間も颯君に苦笑いされた。 『颯君とリーダーは、自主規制しろよ!ってくらい周りにダダ漏れだろ。俺達は外ではそういうの出さないの』  それに、思い通りに行かないことがあったり、コントロールが利かない時は。     一人で居て、心を閉ざす。  気持は解らなくは無いけれど。  見守るだけなんて俺の性に合わないから。今日こそ言おうと思ってたのに。  ノックの後、「お早う」って静かに楽屋に入ってきたニノは。 「―― 一昨日は電話くれたのにゴメンね、ルン君」  俺が切り出す前に、しおらしく目の前で項垂れたニノに、俺の意気込みは、一瞬で吹っ飛んだ。 「ニノ、17「――ゴメン!」日は…」 今なら行けると思ったのに、硬い声で遮られて、俺は口ごもる。 「そのことなんだけど…ゴメン。今年は」 17日は8時発の新幹線で、そのまま京都で泊だから…。 アレだろ。 要は来るなってことだろ。 それから。 お祝いは今年は要らないから、って。 ――今年の俺の計画は無視か? 毎年お祝いしてくれる人には、先にもう全部断りの連絡を入れたんだって。 どれだけ頑ななんだよ。 でも。まだ、ニノの気持を尊重したいって気持の方が大きいから。 「解った」 俺は物分りのいいフリを装うしかない。 「うん…じゃあ。俺先に行くね?」 何分もしないうちに、そそくさとニノは出て行く。 ――視線を感じて振り返ったら。 颯君はまた豆柴みたいになって俺のこと見てた。 今日は耳まで垂れてるみたいに、見るからに残念そうな顔。 その顔って、ホントは俺がするんじゃないの?って思うけど。 「颯君。――今晩暇?…っていうか、暇だって言ってくれ」 思わず、強引に誘ってしまった。 「――お…俺ぇ?」 うん、じゃあ…サトリさんも一緒でもいい? って聞いてくるから。 ゴメン。約束してたんだね…。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加