the Love Bug(ルン×壱成)

9/15
前へ
/129ページ
次へ
その日の収録終わり、帰ろうとしてた俺の前を塞ぐように立ちはだかって、 「ニノ。今日この後は?」 って聞いてくるリーダーに。 「――おじさんが此処で今邪魔してくれてなかったら、俺直ぐ帰れるんですけど」 「――よし。無いんだな。予定」 満足げに笑うのはいいけど、リーダー貴方ね。 人の話を聞かないにも程があるよ? 「明日朝早いから、食事なら颯ちゃんと行って」 突然俺に名前を呼ばれた颯ちゃんはびくっ、って肩を震わせて振り返った。 「――な…なに?」 出たよ脅える豆柴。そんな顔するから皆苛めたくなるんだよ。 「――そっか、じゃあメシついでに颯君も一緒に行くぞ」 「俺帰るって言ってんだろ…」「何処に行くの?」 何を言い出すのか余りに突然で。二人がかりでリーダーに抗議するけど。 「――ニノん家にゲーム借りに行こうと思ったけど。持って帰るのめんどうだから。颯君も一緒に行ってこないだのカートのリベンジマッチすんぞ」 行くぞ!って俺達を追い立てる。 「俺いいって言ってないのに…」  今日は16日。明らかにこれ明日の伏線だろうと思ってたのに。  ちょっと期待したのがバカバカしいくらいに、フツーに3人で食事して、フツーに俺ん家でリーダーと颯君は、俺が暫く触ってない専用ハンドルリモコンを握り締めて、二人で『リベンジマッチ』を始めた。 呆れるくらいお二人とも自由なことで。 でも。こんなに気兼ねなくいつもどおり接してくれるから、俺は救われてるんだ、って思う。 「――俺風呂入って寝るけど…帰っても泊まっても、どっちでもいいよ。鍵貸しておくからさ」 って言ったら。 「――そうか?」 リーダーがちょっと見上げるからつられて俺も見上げた時計は。 11時20分。 「じゃ。そろそろ帰ろうか…」 ホントにバースデー合わせじゃなかったんだ。って少し心が軋んだような気がした時。 ――ピンポーン、て。 玄関のインターホンが鳴った。 「――あ。来た来たデリバリー!ニノ出て!」 嬉しそうに言うリーダー。 「あんたこんな時間に何頼んだんですか!って。帰るなら頼むなよ!」 って文句言いながら、仕方なく玄関のドアを開けたら。 「あ…」 「――こんばんわ。真夜中のデザート」 お持ちしました。 って。 ルン君が、白い箱を大事そうに両手に二つ抱えて、立ってた。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加