AFFAIR(アサキ→ルン→颯→アサキ)※

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 微かに身じろいで目覚めたら。見慣れない色の天井が目に入った。 ――またか…。 俺は一度瞼を閉じて。自分の居場所を頭の中で確認する。 ――昨日アイダさんに晩飯呼ばれて…。 そうだ! は、っと目を見開いて隣を確認する。 数ヶ月前。同じシチュエーションだった事をフラッシュバックのように思い出す。 少し違うのは、被ってるシーツから見えてるのが、裸の背中で。 アイダさんのキレイな素肌だって事だ。 とうとう、此処まで辿り着いたのか、と思う。 自分の居る場所がとても信じられないけれど。 ああ。これが『幸せ』なのかな、って訳も無く思う。 「…ん」 目の前の背中が揺れて、アイダさんがこっちに振り向いたから。 何故か反射的に俺は寝返りを打って、アイダさんに背中を向けた。 目が覚めたアイダさん。 「うーんっ」 伸びをしてるのか、シーツを広げて後ろでベッドが沈む。 「――ぅ?…あっ!」 って小さく声を上げたら。 今度は何だ? 「ど…うしよう…っ」 後ろでぐらぐらとベッドを揺らし始める。 ――だからどうした? 「夢じゃ、ないんだよね…?」 幸せすぎて、死んじゃう。 って呟くのが、背中で聞こえた。 何だソレ。笑いそうになるのを必死に堪える。 ホントに、夢じゃないんだよね?なんて、アイダさんは何度も呟いて。時々、 「イテテテ…」 夢じゃない、なんて言うのは、頬でも抓ってるのか? 「――」 やたら後ろで動いてたのが、今度はぴくりとも動かなくなるから、俺も息を殺しながら、背中で様子を伺い続ける。 背中に恐々と指先で触れられるのを感じて。 それに慣れたら頬を寄せられて、 大胆になってきたアイダさんは唇を落としてくる。 ――ダメだ、やっぱり、我慢できない。 ちゅ、って柔らかい唇が背中から離れた瞬間。 寝たフリしたままぐる、って寝返りを打ったら、アイダさんがびく、って身体を縮めるのが目を閉じてても解った。 そのまま目の前の気配ごと、ぎゅ、って胸に抱き締めた途端。 「っ…――っ!??」 精神崩壊寸前みたいに焦るアイダさんの顔をぎゅうぎゅう、俺の胸に押し付ける。 「る、んくん…っ!?」
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