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ルン君は呼んでも聞こえないくらい、眠りこんでるみたいだ。
胸の中に抱きしめられたら。幸せすぎるから、寝てるのにめまいがする。
胸に押し付けられてる耳からゆっくりとした心音が聞こえて。自分のドキドキと重なる。
じっと耳を傾けてたら。
ルン君の腕から力が抜けて急に開放された。
「は…」
息を忘れてたの思い出して、大きく深呼吸。
目の前の顔を見つめる。
「――」
何時も隙がなくて完璧で恐いくらいキレイなルン君も。
今は薄く唇を開いて、無防備な寝顔を見せてくれて。
「可愛い…」
いくら見ても飽きない。
また叫びだしたいくらいの想いが急に膨らんでくる。
「~~~~~っ!!」
大声が出せない代わりに、またベッドの中で手足バタバタしちゃう。
大好き、大好き。大好き!
「――オイ…」
朝っぱらから何暴れてんだよアイダさん。って声が上から降ってきて。
はっとしてルン君を見上げたら。
「どうしたアイダさん…『幸せすぎて、死んじゃう』?」
なんて言いながら。ニヤ、って。ちょっと歪めた唇が何か企んでるみたいで…。何かえっちだ。
「――っ!!聞いてたの!?」
「全部聞いてた」
恥ずかし過ぎてベッドから飛び起きて。
裸のまま、明るい部屋の中へ逃げ出しちゃう。
「――何か着ろ~」
風邪ひくぞ、ってルン君から声をかけられるけど。
恥ずかしさで上がった体温で、全然寒くなんかないよ。
ずっとこのままって訳にもいかないし。あいつらに水も上げないといけないから。
クローゼットまで行って、Tシャツとかチノパンとか、適当に目についたのを身に着けて。
朝日の差してるベランダに出た。
「――もうちょっとだ…」
向日葵たちのプランター。日に日に蕾が大きくなってきてる。
如雨露から水をかけてあげながら。
「オハヨウ!ホントに皆大きくなったね~。あとはキレイに咲くだけだね~?」
って。また向日葵たちにご機嫌で話しかけてたら。
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