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「――ふぅん…。コレがアイダさんの向日葵か」
って声が聞こえて。背後に気配を感じたら。
「え!ぅわ!ルン君?」
後ろから両腕がにょき、って伸びてきて。
腰を抱かれて肩に顎が乗っかった。
「――」
どうしてだろう。一瞬颯ちゃんのコトを思い出した。
「――咲いたら見に来る約束が。大分早まったな…」
なんて言ってるルン君に。
「ね。咲きそうだって思ったら連絡するから…。一緒に見よう?」
「アイダさん。その時はちゃんと颯君にも連絡してやれよ」
「どうして?」
――俺の心。見透かされてた?
「変だな…俺だってアイダさんのこと独り占めしたいのに。――俺が此処に来るまでに、何度もあのヒトに背中押されたから、かな」
良く解らないけどさ。ってルン君は俺の耳元で苦笑いした。
「――」
如雨露を置いてルン君の腕の中で振り返って。ぎゅ、って抱きついて。
「ルン君今日予定は?」
「午後から夜にかけて舞台のホン読みがあるだけ。だから午前中ジム行こうかと思ってたけど…ジム用の着替え持ってきてないから今から一旦家に帰るかな。――アイダさんは?」
「今日は11時からニノと一緒に雑誌のスチールで…あとはどーぶつえんのスタジオ撮り。――ね、ルン君」
「ん?」
「着替えなら俺の貸してあげるから…」
「――じゃあもう少し…ゆっくりしようかな」
俺が言い出せないオネダリをちゃんと解ってくれたルン君が。
「それなら今日は俺が朝飯作るよ」
「作らなくても、昨日のポトフがまだ鍋の半分くらいあるよ?」
「――そっちは俺に考えがあるって言っただろ?…だから今日、晩飯また此処に喰いにきても良いか?」
こんなに直ぐに次の約束まで出来ちゃうなんて思ってなかったから。もう俺は何も考えずに二つ返事する。
「――うん!!待ってる!」
「颯君にも今晩来るかどうか聞けよ?」
完全に颯ちゃんの事頭の中から消えちゃってた現金な俺は。
「ルン君どうしてそんなに颯ちゃんの心配ばっかりするの?」
「アイダさんこそどうしてそんなにあっさり颯君の事放って置けるの?」
「~~~だって…」
どうしたって今の俺の中ではルン君の方が優先になっちゃうんだもん。なんて正直に言ったら、多分ルン君は怒るだろうから、黙ってるしかない。
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