AFFAIR(アサキ→ルン→颯→アサキ)※

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そんな大胆な言葉を何の気なしに言えちゃうなんて。 颯ちゃん自分を見失ってるようにしか聞こえないよ? 「二番でいいなんて…。颯ちゃんにはプライド無いの?」 薄暗くて、お互いの表情が曖昧にしか確かめられないカウンターの上で。 ヴァルシュタイナーの瓶を何とか掴んでた俺の手の上に、颯ちゃんは手を重ねてきた。 「プライドは、あるよ?いつか俺が、アイダちゃんの一番になればいいんだ」 ナンバーワンっていうタイトルホルダーになるまでは、挑戦者としてのプライドがあれば充分。 なんかスゲーカッコいいこと言っちゃってるし。 振りほどけばいいのに。俺は手の甲で、颯ちゃんの熱を確かめてる。 きっとバーカウンターの暗さって。駆け引きのための大事なツール。 今顔見られたら。動揺してるって絶対バレちゃうから。 「そんなのいつになるか――解らないよ?何時まで経っても一番になれないかも…」 でも暗さの力を借りても、俺の答えは直ぐに、しどろもどろになり始めた。  強制的にアルコールで高くなった俺の体温より、颯ちゃんの手のひらは熱くて。 ああ、どうしよう。俺、完全に颯ちゃんのペースに飲まれてる。 「――そうなるまで一緒に居るよ?そしたら俺の勝ちだよね」 颯ちゃんは絶対へタレじゃないよ。キャラ作ってるよね? 『気付かれちゃうから、ドキドキ止まってよ!』 心臓が暴れるみたいにじたばたしてるのが解る。 臆病なくせに、欲張りな俺は。 颯ちゃんの心も欲しいって。 警戒が融けていくのを、嫌と言うほど判らされて。 ルン君への想いはどうしたらいいのかの答えが見つからないまま。 胸のドキドキを誤魔化すために、 さっきのお返しみたいに、髪の良い匂いのする颯ちゃんの耳元で。 「――じゃ。家で、飲みなおす?」 精一杯震えを押さえて、囁いて誘ったら。 颯ちゃんの潤んだ瞳が揺らいで瞬くのは、いいよ、っていう返事。 ――俺ね。 颯ちゃんの気持を受け入れたら。 止まったままだった、颯ちゃんとルン君と俺の世界が。 変わるんじゃないかって、ちょっと思ったんだ。 それがイイコトかどうかなんて。全然判んないけど…。 それでも変わって欲しいって。 ただ願ったんだ。
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