サクラドロップス(サトリ×颯)

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待ち合わせ場所の目の前にあった清水堀にかかる橋を渡ったら。  すぐに目的地の建物が見えた。  北の丸公園内にある。  東京国立近代美術館。   「珍しいね。颯君こんなの興味あったっけ?」 なんて言う俺も自分では絵を描くけど、美術館に来る事は滅多にない。 「…っていうか。そろそろ閉館時間じゃないの?」 「――金曜日はね、8時まで開いてるんだ」 仕事帰りの人相手に、最近そういうところ、増えたみたいだよ。ってしっかりリサーチ済みみたいだ。  近代美術館は、外からぱっと見る限りは美術館…ていうより学校みたいな四階建ての建物で。  自動ドアを潜って視線を上に挙げると。 エントランスは吹き抜けの高い天井で開放感があった。  週末だけど、館内はこんな時間だからなのか余り人は居ない。  颯君がチケットを一枚俺に差し出しながら、 「ゴメンねサトリ君。今日は常設展だけになっちゃうけど。此処のあともう一つ美術館に行くから」 「こんな時間から?」 「そう。今夜は駆け足だけど。その分内容盛り沢山だよ?」 「解った。俺、超期待してるよ」  ごゆっくりどうぞ。と展覧室の入口で声を掛けられて。 俺達は展覧室へ入った。 俺が早速作品を観ようと壁の絵へ近づこうとしたら。 「サトリ君!こっちこっち」 颯君は、美術の教科書で見覚えがある油絵や、俺でも知ってるビッグネームのスケッチ画には目もくれず。 目的のフロアまでエレベーターで移動して。 俺を一つの絵の前に連れてきた。
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