AFFAIR(アサキ→ルン→颯→アサキ)※

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「アイダちゃん」  熱い吐息のない交ぜになった声で囁かれて。そのままソファに押し倒されちゃった。 「抱いてもいい?」 ってまた確認される。 そんな目で見つめられたら、ヤダなんて言えないけど。あんなキスをされても、実感がないんだ。 「――」 まだ迷ってる俺が逃げ出さないように、颯ちゃんが俺をぎゅっと抱きしめてきて。 「じゃあさ――二人で一緒に、確かめよ?」  この気持は、 ニセモノか。 ホンモノか。 伸し掛かってきた颯ちゃんの背中に黙って手のひらを這わせたら。驚くくらい広くて。 俺が知ってる、オンナノコの丸くて柔らかい身体とは全然違う。 オトコノコとするって。 しかも自分が抱かれちゃうって、こんな感じなんだぁ、って意外に冷静な俺。 半分だけ閉めてたジップアップパーカーのジッパーを、ゆっくり降ろされて。 タンクトップの裾から差し込まれた両手が、素肌の腰を触れるかどうかくらい微妙なタッチで辿った。 「は…」 思わず溜息が漏れちゃう。  くすぐったさに我慢できなくて腰を捩らせたら、颯ちゃんに耳朶を甘噛みされて。 「やっ…ん」 びくって、身体が痙攣するみたいに反応する。 「どうしよ…食べちゃいたい」 「どーせ、ヤダって言っても。食べちゃうんでしょ?」 「当然。残さず戴きますよ」  颯ちゃんどうして時々こういう事言い出しちゃうのかな。 言われる方が恥ずかしい。  俺の耳朶を齧ってた唇が、急に首筋や鎖骨を滑り始めた。 タンクトップから見えるところにしかキスが貰えないのが我慢できなくて。 「もうコレ。邪魔!」 パーカーもタンクトップも、えいえい、って脱いで何処かに放り投げちゃう。 「颯ちゃんもだよ!」 「アハハ。男らしい」  Tシャツを脱いで、やっぱりどこかに放り投げてから。  颯ちゃんの手は、今度はちゃんと、身体を手のひらで撫でてくれた。 「…ん、は…ぁ」 息が浅くなって酸欠になりそうで、俺は大きく息をついて、颯ちゃんに抱きついたら。  颯ちゃんの背中もしっとり汗ばんできて。手のひらが吸い付くみたいになってた。
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