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僕は泣き崩れた。
涙が屋上のコンクリートに染み込んでいく。
涙が止まらない。こんなに泣いたのは初めてだ…。何もかも初めてだ。初めて恋をして、初めて失恋して…。
初めて死を決めた。
ちょうど屋上だ。死のう。そう決心した瞬間だった。
「意気地無しストーカー改めて、
勇気あるストーカーさん。見てたのは謝るけどさ、ちっと俺の話し聞いてくんね?」
田中が屋上の扉からひょっこり出てきた…まぁどうでもいいけど…どうでも。
「何」
力無く返事を返した。
田中もそれを察してか、ふざけた表情から、真面目な顔をした。
「沙織ちゃん」
田中が女の子の名前を呼ぶ。華奢な女の子が扉の影から現れた。
「たった今あいつフラれたから、チャンスは今だけ」
そう田中が言うと、沙織ちゃんは僕の方に歩み寄ってきた。
「先輩…あの…ずっと前から好きでした」
僕は度肝を抜かれた。
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