1話 猫

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世界は言葉でできている。人々の話も、情報もすべてが言葉によって混ぜられこねられ、混沌になっていく。 混沌       であり カオス      であり 無秩序      である。 言葉は言葉のまま『妖しく』、また『怪しい』ものになっていく。 幽霊の正体見たり枯れ尾花 幽霊はこの文により枯れ尾花になった。 言葉によって幽霊は妖しくなくなった。 妖怪も幽霊も言葉のインチキの様なもので、怖いようなものではない。 俺神谷亮もそう信じていた。 いや、信じていなかった。 あの八月の初めまでは…… 前置きが長くなったががんばって聞いてほしい。 フランスのピエール・コルネイユの名言。 不幸はこれを語ることによって軽くすることができる。 俺の不幸は誰が為か。己のためか他が為か。 重くなるのか、軽くなるのか。 そんなことは知ったことではない。 語らせてもらおう。自分のために。
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