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見慣れた街が過ぎ去りながら次第にオレンジの光は弱くなり、繭子が降りるバス停に着く頃には辺りは徐々に暗くなっていた。
バスをおりてその大きなくたびれた背中を見送って、繭子は歩き出した。
秋の涼しい風が頬を切る。
空港で買ったお土産の紙袋がカサカサ音を立てる。
秋の涼しい風が頬を切る。
何度もなんども歩いた道をまた歩く。
あの頃はどんな気持ちでここを歩いていたんだっけ。
きっと今以上に下ばっかり見て歩いていた気がする。
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