1章

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繭子は駅の改札口でバスを待っていた。 久しぶりに実家に帰ってくる。 大都市の仕事も生活も悪くないけが、実家の街の雰囲気はやはりどこか違う。 落ち着く雰囲気がある。 ここを飛び出してからもうすぐ3年になる。高校までいた街はどこかさびれた都会だった。 人口は多いし、バスも地下鉄もJRもたくさん走っているが、どこか都会っぽくないさびれた雰囲気がする。 住み慣れていたからだろうか。 体に馴染んでいたからだろうか。 夕陽が虚しい影を夜に向かって伸ばす頃には街は寂しくも暖かい色に染まっていた。
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