第三章

9/12

2089人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
*** ガチャ 「…………ひっ」 玄関の扉を開けた瞬間、立っていたあいつ。藤堂。 「……俺が言いたいことわかるよな…?」 目……目が……笑ってなーーーーーーい!! お、怒ってる……。。 「ご、ご、ご、ごめんな…「いや、別に怒ってねえから。」 ……ん? ………怒ってない……? 「とりあえずリビング行くぞ。玄関で話すとか意味わかんねえから。」 *** 沈黙。 先に口を開いたのは向こうだった。 「…連絡くらいよこせよ。」 「………ん?」 あたしは全くもって意味がわからず首を傾げた。 「だからっ!友達連れてくんなら連絡くらい1つよこせっつーの。」 あー、そういう意味か。 「……あたし、あんたの連絡先知らない。」 「…………は?」 あたしの返答を聞き、間抜けな声をだす。 「…確かに教えてないな……。……携帯貸せ。」 あたしは素直に携帯を渡す。 するとあたしの携帯と自分の携帯をピコピコして、ポイッと返してきた。 「俺のアドレス送っといたから。これからは連絡してこいよ。あ、あと、俺のこと“あいつ”とか“こいつ”とかふざけてんのか?」 そう言いながら近付いてくる……こいつ。 どうしてこんなに近付いてくるのか。 ………心臓に悪い。 「李久。」 「……え?」 ソファの横にドカッと座り、ボソッと言う。 「李久って呼べ。」 「は?いやいや、なんで?」 「……ちっ。こんな扱いずれー女、初めてだ。」 「悪かったですねー……って、んっ」 あたしが憎たらしく言ってる途中に塞がれた唇。 強引なのに優しいキス。 しかし、好きでもない人にちゅーされて嬉しい奴がいるかっ!! あたしは必死に…李久…の胸を叩いて逃れようとした。 そのたびに深くなるキス。 男に慣れてないあたしは息も苦しい上に、力が抜けてくる。 それを察したのか離れた唇。 あたしはハアハアと酸素を求めた。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2089人が本棚に入れています
本棚に追加