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「……はああああああ……。」
盛大な溜め息、すいません。
いや、しかしながら、あたし、皆瀬鈴奈は、只今かなーーーり、困っております。
こんな溜め息では足りません。
事の発端は30分ほど前にさかのぼる───────……
──30分前
土曜日のお昼。
あたしは珍しく予定もなかったから、冷蔵庫にあったものであり合わせの焼きめしを作って食べていた。
~♪~♪~♪
その時鳴った携帯。
あたしはとりあえず相手を確認した。
「……げっ」
まさかの相手に顔が歪む。
「なんで藤堂が………」
そう。相手はあの藤堂。
とりあえず無視するとあとが面倒なので、出ることにした。
「もしも『遅い。お前今家?』
もしもしくらい言わせろよっ!!!
とか思っちゃったりしちゃったりしたけど、そんなこと言えるはずもなく。
「家ですけど………。。」
『俺の部屋の机の上にある茶色い封筒、今すぐ持ってきて。』
………パシり?
あたしもしかしてパシられてる!?
「持ってくってどこ『チェリツリの本社。さすがのお前でも知ってんだろ?出来るだけ早く来い。わかったな?』
「あたし行くなんて一言もっ…ブチ」
一方的に切られた電話。
有り得ない。
人に物を頼む態度がなってなさすぎる。
しかしチェリツリって、あのチェリツリだよね……。
あ、チェリツリって言うのは、今日本で売り上げぶっちぎりナンバーワンの化粧品会社“cherry tree”。略してチェリツリ。
今時どの世代の女の人もチェリツリの商品は一つは持ってる。
そんだけ大きな会社。
そんなとこの本社で働いてるわけ?あいつは。
「………チェリツリ本社。少し興味がある。」
あたしは藤堂の机から封筒を取り、家を出た。
──────…
─────…
と、まあ、こんな感じの経緯で只今チェリツリ本社前。
デカい……。
もー、ハンパなくでかい。
「場違いすぎる。」
でも届けなかったら恐ろしいので、あたしは勇気を振り絞って中に入った。
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