第四章

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「……はああああああ……。」 盛大な溜め息、すいません。 いや、しかしながら、あたし、皆瀬鈴奈は、只今かなーーーり、困っております。 こんな溜め息では足りません。 事の発端は30分ほど前にさかのぼる───────…… ──30分前 土曜日のお昼。 あたしは珍しく予定もなかったから、冷蔵庫にあったものであり合わせの焼きめしを作って食べていた。 ~♪~♪~♪ その時鳴った携帯。 あたしはとりあえず相手を確認した。 「……げっ」 まさかの相手に顔が歪む。 「なんで藤堂が………」 そう。相手はあの藤堂。 とりあえず無視するとあとが面倒なので、出ることにした。 「もしも『遅い。お前今家?』 もしもしくらい言わせろよっ!!! とか思っちゃったりしちゃったりしたけど、そんなこと言えるはずもなく。 「家ですけど………。。」 『俺の部屋の机の上にある茶色い封筒、今すぐ持ってきて。』 ………パシり? あたしもしかしてパシられてる!? 「持ってくってどこ『チェリツリの本社。さすがのお前でも知ってんだろ?出来るだけ早く来い。わかったな?』 「あたし行くなんて一言もっ…ブチ」 一方的に切られた電話。 有り得ない。 人に物を頼む態度がなってなさすぎる。 しかしチェリツリって、あのチェリツリだよね……。 あ、チェリツリって言うのは、今日本で売り上げぶっちぎりナンバーワンの化粧品会社“cherry tree”。略してチェリツリ。 今時どの世代の女の人もチェリツリの商品は一つは持ってる。 そんだけ大きな会社。 そんなとこの本社で働いてるわけ?あいつは。 「………チェリツリ本社。少し興味がある。」 あたしは藤堂の机から封筒を取り、家を出た。 ──────… ─────… と、まあ、こんな感じの経緯で只今チェリツリ本社前。 デカい……。 もー、ハンパなくでかい。 「場違いすぎる。」 でも届けなかったら恐ろしいので、あたしは勇気を振り絞って中に入った。
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