第四章

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「え、と、藤堂さん。」 「課長!?」 あたしに近づいてくる藤堂に、周りの声。 ……こいつ、課長なわけ? 「はい、お疲れさん。」 優しい笑みであたしの頭をポンポンと叩きながら言った。 ………何よ、その微笑み。 ……ずるい。 初めてみた優しい笑顔。 冷たくないし、意地悪じゃない、藤堂の笑顔。 なんか、……ドキっとした。 「……っはい、これ!」 あたしはそんな気持ちを悟られないように、パッと目を逸らし、力任せに封筒を渡した。 「………ありがとな。 ま、あと数分遅かったら怒鳴りちらしてやろうと思ってたけど。」 ……前言撤回。 こんな奴にドキドキなんてするわけない。 わざと、あたしにしか聞こえない声で恐ろしいことを言い出す。 ……遅かったのは、人に囲まれてたからだもん。 「と、藤堂さん…?その子は一対……。。」 受付の女の人が少し遠慮がちに聞く。 「あー、えっと、……… 彼女なんだ。」 …………は?
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