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side 鈴奈
自室に戻っていく李久をあたしは真っ赤な顔で見つめる。
『んな顔してたら襲うよ?』
耳元で優しくこんなこと囁くなんて、反則だ……
でも自分の心が楽になってるのがわかる。
─…李久に話して、よかった……
そう思いながら、あたしも自室に戻ったのだった。
***
「───…ちょ、夏音!!本気で言ってる?!」
放課後、体育祭で出る競技の最終決定中。
夏音から言われたのは、驚くべき言葉。
「当たり前でしょ!あたしは港と二人三脚するから、あんたは葵と二人三脚ね」
「無理無理無理!夏音知ってるでしょ?!あたし、葵と喧嘩してるんだよ?!」
葵に聞こえないように、あたしは極力小さい声で反論した。
「だからでしょ!あんたらここまでしないと話そうとすらしないじゃない」
「……それは……」
確かにあれから、互いに避けあって、話すらしていない。
「ちゃんと仲直りしな」
真剣な夏音の言葉は胸に響いた。
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