第九章

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side 鈴奈 自室に戻っていく李久をあたしは真っ赤な顔で見つめる。 『んな顔してたら襲うよ?』 耳元で優しくこんなこと囁くなんて、反則だ…… でも自分の心が楽になってるのがわかる。 ─…李久に話して、よかった…… そう思いながら、あたしも自室に戻ったのだった。 *** 「───…ちょ、夏音!!本気で言ってる?!」 放課後、体育祭で出る競技の最終決定中。 夏音から言われたのは、驚くべき言葉。 「当たり前でしょ!あたしは港と二人三脚するから、あんたは葵と二人三脚ね」 「無理無理無理!夏音知ってるでしょ?!あたし、葵と喧嘩してるんだよ?!」 葵に聞こえないように、あたしは極力小さい声で反論した。 「だからでしょ!あんたらここまでしないと話そうとすらしないじゃない」 「……それは……」 確かにあれから、互いに避けあって、話すらしていない。 「ちゃんと仲直りしな」 真剣な夏音の言葉は胸に響いた。
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