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「よーう。親無し」
教室に着くと、心無い言葉が耳に入ってくる。
「しつこいわね。ほんと性格悪い」
「なんだと?」
ククルと男子生徒は両者睨み合う。互いに視線を逸らす様子は無い。
「はいはーい、そこまで」
パンパンと渇いた音が響いた。先生だ。 さすがに先生が出てくると男子生徒はばつが悪そうに席に戻った。
私には親がいない。十年前のドラゴンレースで両親共に亡くなったからだ。両親は立派なドラゴンマスター(ドラゴンを操る人)だった。それ以来、ドラゴンに触れることは辞めた。どうしても胸が苦しくなってしまうからだ。
「と、いうことで、ドラゴンレースの季節がやって来ました。ドラゴンレースは普通大人しか参加しないんだけど、今年から子供も参加するキッズレースが始まりました。」
ざわざわと教室がざわめく。
「せんせー。でもドラゴンレースは危険じゃないんですかー?」
一人の女子生徒が口に出した。当たり前だ。冗談じゃない。あんな危険なレースを子供にもやらせるなんておかしい。私はその子の意見に賛同した。
「んーそうねえ。レースは危険って言われてるけど、一緒にドラゴンマスターが飛んでくれるから大丈夫よ」
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