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「先輩のことが、すきです」
切羽詰まった表情で告白された。大学のサークルで同性で仲良くしていた後輩に。
「え…ホモなの、お前?」
呆然としてしまってそんな言葉しか返せなかった。もしかしたら俺の顔が引きつっていたのかもしれない。絶望、という言葉が似合う表情をした俺の後輩こと健二くん。
「先輩が、バイト先の女の子に告白されて、付き合ってるのは知ってます。だからこれ、自己満足なんです。言いたかっただけなんです」
無理して笑うから変な表情になってるよ、お前。
「健二、」
急に愛しくなってしまった。健二の頬に手を触れるとびくっと肩を震わせた。
「せ、んぱ」
「なんか、お前が可愛いから」
「はいっ?あの、それって、」
自分の中で好奇心が勝った。健二にもっと触れたら、どんな顔をするんだろう、と。
「ん、」
唇と唇がぶつかった。俺が健二にキスをしたのだ。彼女の顔が一瞬だけ思い浮かんだけれど、なんだかどうでもよくなってきた。それよりも今は目の前のこいつに触れたかった。
「っ、せんぱい」
「…男同士ってどうやってやるのかね」
もうこいつとセックスする気満々とか俺、どうなってんだろう。溜まってるわけでもないのに。俺ってホモだったのか。いや女の子もいけるからバイか。
「え、あの、俺のこと好きですか」
「多分。」
ジュテーム?
(今はまだ、わからなくて)
END
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