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翌日から飯山は、捜査の基本に戻り、事件発生時刻である午後10時頃を待って事件発生現場であの高校生らしい人物が再び通り過ぎるのを待つことにした。
塾通いなら、同じ曜日の同じ時刻に同じ経路をたどる可能性が高いからだ。
そして、事件からちょうど一週間後の夕刻、狙い通りその人物はその場所にやってきた。
モニターに映っていたあの自信無げな様子はもはや消え失せていた。
背筋をぴんと張り、大股で自信に充ちたその歩きぶりは飯山にはまったくの別人に見え、あやうく見過ごすところであった。
「君、ちょっといいかな?」
飯山は少年の前に回り込み、警察手帳を見せながら言った。
「何でしょうか。」
まったく動じる様子もなくその少年は言った。
「先週、この路地で5人の青少年が死亡する事件があってね。防犯カメラには君がその5人に絡まれている様子が映っていたんだが、その認識に間違いないかな。」
「はい、その通りです。」
「それじゃあ、ちょっと署に来て話を聞かせてくれないか。」
「お断りします。」
「えっ?」
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