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「これは任意同行の依頼ですか、それとも強制連行ですか。」
まだ表情にあどけなさの残る少年から予想外の反応をされ、飯山は言い淀みながら答えた。
「任、任意同行だが。」
「それでは、拒否します。忙しいのでこれで。」
そう言うと、少年はすたすたと歩きだした。
飯山はあっけにとられながらも、反射的に少年の腕をつかんだ。
その時だ。
その少年はすっと立ち止まると、自分の腕をつかんだ飯山の手をじっと見た。
そしてその視線をゆっくりと飯山の顔に移動させた。
・・・ブーン・・・
彼と目が合った瞬間、重低音のかすかな響きが飯山の耳に聞こえてきた。
長年の経験に裏打ちされたベテラン刑事の本能が、飯山に身の危険を知らせた。
飯山はつかんだ手をとっさに離し、その少年から飛ぶように2、3歩後ずさった。
その距離約3メートル。
「ぐっ・・・」
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