第1-3章 刑事

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  圧倒されるようなプレッシャーに息を吐くこともできず、動くこともできない。 少年と向かい合って対峙している時間が、飯山には永遠に思えた。 が、実際には向かい合って1秒後にその少年はくるりと踵を返し、そのまま何事もなかったように悠々と歩いていった。 (・・・彼はいったい何者なんだ・・・) 飯山は驚愕の面持ちで彼を見送るしかなかった。 人智を超えたモノに接した者だけが知る感触を飯山はその時感じていた。 あの、目が合った時の少年の表情が脳裏から離れなかった。 その少年はその時、凍えるほどの冷たい視線で、そして何物にも屈しないという自信に満ちた口元で、確かににやりと笑ったのだ。    
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