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その影の立役者は外務省アジア大洋州局の職員、風間敏之であった。
マスコミ的には外務大臣や政府・与党の特命チームによる外交交渉の勝利という扱いになっていたが、既に政府関係者の間では今回の件に関する風間の活躍を知らない者はいなかった。
マスコミがその真相を関係者から聞き出し、彼をヒーローにまつり上げるのは時間の問題と言えた。
事実、その数日後には、TV、新聞紙等あらゆるメディアに風間の名が踊り、日本中が新たなヒーローの誕生を知ることになった。
風間はまた素晴らしい経歴の持ち主でもあった。
東京大学3年生時に司法試験に一発合格し、4年時には公務員試験をトップ合格。
そのまま東大を首席で卒業し、外務省に入省。
入省後もメキメキと頭角を現していたが、特に今回、アジア各国との領土問題に関する事務レベル協議の責任者を任せられ、見事大成功を収めたのだった。
これら一連の成果を踏まえ、外務省は彼を前例のない破格の昇格スピードで処遇した。
こうして、風間の史上最年少での審議官就任が決まった。
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