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「おはようございます、先輩殿!」
最寄りの地下鉄の駅から外務省に続く道を走ってきた後藤美希が、風間に後ろから追いつくと、風間のほうに勢いよく向き直り、右手で挙手の敬礼をしながら言った。
「だからやめろって、その挨拶。人に見られたら笑われるだろ。」
風間はちょっとだけ顔を赤らめて美希に言った。
大学時代の風間の後輩である彼女は、彼を慕って2年遅れで外務省に入省してきたのだった。
そして、挙手の敬礼でものものしく挨拶をするのが後輩の美希からの少しふざけた親愛のしるしとなっていた。
「いやあ、それにしてもすごい活躍ですね!」
と、美希が言うと、
「まあ、今回は予想以上にうまくいったよ。」
と、風間も笑顔で答えた。
いつも冷静沈着で他人と距離をとるようなところがある風間も、なぜか美希にだけは心を許してオープンな自分になれるのだった。
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