ある日の決意

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多分きっと彼等は 私達の事を何か言ったんだろう。 私と圭介の事。 それが先生の勘にさわって まぁこう言う事になったんだろうか。 先生が直接何かするなんて珍しい。 余程の事を言われたんだろうな私達。 「お前達も、いつまで其処に突っ立っているつもりだ。」 先生の凛とした声が道場に響く。 少し苛立ちを感じさせる声が。 それに少し遅れて 周りは各々動き出した。 稽古をしようと竹刀を取りに行く者 同じくして着替えに戻る者 入り口の隅で仲間と 今の試合の評論をする者 それは様々だった。 私達もまた動き出す。 「圭介。行こう。」 漸く絞り出した声は周りのザワめきに消されかけ、直ぐ隣に居る圭介にもやっとこさ届く程に弱かった。 「うん。」 大人の私達に対する 態度にはもう慣れた。 でも、気にしないのは簡単だけど 私達は所詮まだ子供。 ここの大人に苛まれることにもだけど 一番には、先生に迷惑をかけてしまったことが辛かった。 こんな事でさえ傷付かないで居られるほど強くなかった。 「「失礼しました。」」 私達は小さな声で一礼し 道場から出た。 少しどこか重い空気。 すると圭介は突然私の手を引いて 何処かに向かい出した。 「どこ行くの?」 と私が聞くと 「別に。空気のいいとこ。」 そんな圭介の手は、怒りからか 悲しみからか小刻みに震えていた。
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