ある日の決意

2/9
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
「あー寒い寒い。」 久しぶりにこんな時間に起きちゃったよ まだちょっと暗いし… でも、吐く息の白さが生えて綺麗。 しかし寒い…。朝までまだ時間あるし 素振りでもして身体暖めようっと! 「やっぱ外は寒いなぁ…。」 身体を丸めてゆっくりとした足取りで 道場に向かう。 (あれ?もう誰か居るのか。早いなぁ…この音は…!) 寒くて固かった身体も関係ない 走る走る。 早く道場に行きたい! だってこの音は、先生の! 「失礼します!」 道場に入る時の約束。 道場に一礼して 大きな声で挨拶をすること。 私の好きな約束。 すると先に来ていた彼は 手を止め振り返った。 「あ、おはよう一葉。今日は随分早いな。」 やっぱり…! やっぱりそうだった!! 「先生!!おはよぉおぉぉぉおぉぉ!!」 嬉しくてつい先生に突進しちゃった。 でも先生は私を受け止めてくれた。 「おっと…!毎度の事ながらお前は朝から元気が良いね。」 「まぁそれだけが取り柄だからねー。んー…先生の手ぇは暖かいね。」 先生の大きくて硬い手が 私の頭を撫でるのが好き。 このゴツゴツ感が 堪らないのよねぇー…。 何時かの私を拾ってくれた あの時と一緒。 あ…駄目眠くなる。 私の瞼が少しだけ重くなった頃 「はい終わり。ほら、始めるよ。」 先生は離れてしまった。 「ちぇ…。はーい!!」 .
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!