ある日の決意

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何で始まったばっかりだと 思ったかって? それはね 始まったばっかりだと 細身の先生を見くびって皆 余裕ぶった顔をするんだもん。 腹が立つ。 でも大体直ぐに先生が勝つから。 見てて?ほら 男が先生に向かって木刀を振りかざすが 先生は悠にそれを避けた。 男はまさか自慢の一振りが避けられるとは思いもしなかったのか驚愕を顔に浮かべている。 先生はそんな男の腹に重い一撃を叩き込む。 「ぅぐぁ!!」 男は苦しい声を上げて 少しだけ宙を舞った。 まぁ、つまり吹っ飛ばされたわけだ。 男は中々の体格をしていたせいか 聴衆はどよめき 男はズシンと音をたてて地に着いた。 男の元には取り巻きだろう数人の人が駆け寄った。 「こんなもんか?」 先生は、苦い顔で 起き上がろうとしている男に向かって 地を這うような声で言い放つ。 「…あんたより、散々馬鹿にしたあいつらの方がよっぽど腕が立つ。下らねぇ事ばっか言ってねぇで、腕を磨くんだな。」 「チッ」 男は自身の取り巻きに支えられながら 無言で道場を後にした。 私達をチラリと見て。
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