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「じゃあ次行くぞ」
「え?まだ行くの!?」
驚いている私を余所に神綺さんは席を立ち、さっさと会計を済ませた
「寒‥っ」
外へ出ると夜の冷たい風が肌に刺さる
「そんな格好してるから寒いんだろ。これ貸してやる」
そう差し出してくれたのはマフラーだった
「大丈夫です。‥多分」
「貸してやるって言ってんの。有り難く借りとけ」
バサッと被せられ、渋々それを首に巻くと温かさが残っていて冷えた首元が暖まっていった
「…ありがとう。」
「おう。千架、お前家近所なのか?」
「なんで教えなきゃいけないんですか。」
「聞かなきゃ送れないだろうが。家どこだよ」
「それなら送って貰わなくて結構です。近いんで」
やっと帰れる…
心の中で安堵し、大きくガッツポーズを決めた
「なんかあったら困るだろ。遅くまで連れ回したんだ責任持たないとな」
「‥変な人。」
自分で振り回しておいて妙な所で律儀なんて
「ほっとけ。んでどこだ?」
「この道を真っ直ぐ行ってその次の角曲がって、また真っ直ぐいくと着く」
「じゃあいくぞ」
今度は手を掴まれ、私たちは夜の街をあとにするのだった
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