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相手に気付かれないように近づき、後ろから声を掛ける。
「こちらを振り向かずに話を聞け」
ビクッと体を反応すると、動きが固まる。
「おっと…大声をだすなよ?今、お前の背中には危ないものがあるんだからな」
といって何でもない携帯の角で小突く。
「…銃でも持ってるってわけ?」
相手が焦りを隠しきれない様子で質問してくる。
「ふんっ…アニメやマンガの見すぎだ、そんなものただの杞憂だ…まあ杞憂ですめばいいがな」
「で、どうすればいい?」
「まあお前と安全にご飯を食べるためにいくつか質問をしよう」
「その前に!」
相手が体を動かす、ここで反撃するであろうことは予測済みだ。
この体制からの護身術、それは踵を後ろに蹴りあげれば油断した不審者にきつい一撃を食らわせられる。
ただし、油断していればの話だ。
相手の脚を左手で受け止め、勢いを相殺する。
「護身術の心得があったとはな、しかし残念」
「…くっ」
悔しそうに歯を食い縛る
「さて、質問だ。お前は複数で来ているのか?」
「違う」
「持ち物は?」
「携帯だけ」
…………無用心だな…
どうやらこいつは
携帯と女の身一つでここに来たらしい…
「はあ…とりあえず場所を移すか」
さすがに溜め息を隠しきれず、女の顔を覗き込むと困惑した表情をしていた。
お互い様だ…
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