未熟な罠

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席をたち背を向ける女に一言。 「これなーんだ?」 俺のおどけた調子に文句でもつけようと振り返った女は、驚愕の表情で俺の右手を見つめる。 「それ、私の携帯…いつの間に…」 「お前が俺のあそこを蹴りあげようとしたときだ」 攻撃こそ最大の隙、と言うやつだ。 「今すぐこの携帯を叩きわってもいいんだが、大事なもんなんだろ?」 「別に、勝手にすれば…」 「知らない人間と逢うってのに女の身でありながら鞄も財布も武器すら持たず、この携帯だけを握りしめてたもんだからてっきり、大切なもんかとおもったが?もう一度言おう、叩きわってもいいんだな?」 女は渋々と座る。 「宜しい。では質問だ、なぜ出逢い系の業者の真似事なんてしている?」 「あんたには関係ない…」
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