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二人は静かに給食を食べる。何の会話も無く、少し拍子抜けした感じだ。
「なぁ……」
この場の空気をどうにかしようとしたが、瑞生は「待て」とでも言うように、手を広げた。
ガツガツと食べる瑞生に、俺は呆然と見つめる。喉に突っ掛かりそうに何度もなったが、その度牛乳で流し込む。
そして漸く食べ終わった瑞生は、俺の頭を軽く叩いて来た。
「何すんだよ」
「食事中に喋りかけるんや無い!マナーがなっとらんな」
「堅い奴だな」とでも言うような目をして睨むと、瑞生は同じような目で返してくる。
「食事は生きる為のマナーや。残飯なんか絶対に駄目や。作ってくれた人に感謝の気持ちを込めて、食べなきゃいかん!」
まるで親父に怒られたような気分になった。でも、懐かしい感じがする……。親父に怒られたのなんて、どれだけ前だろう。親父が死んでから8年。怒られるのが新鮮に感じた。
「そう言えば、何でお前関西弁なんだ?関西出身か何か?」
すると瑞生は、人差し指を横に振る。口で「チッチッ」等と擬音まで付ける所が子供らしい。
「何や……。何か気安く話しやすいやろ?ノリって奴や」
「ふ~ん」
聞いといて何だが、それしか言葉に出ない。俺も関西弁にしようか……。
俺が気になった事を、取り敢えずありったけ質問する事に決めた。
何組なのか、好きな食べ物、特にバンドについては触れたかった。
組も教えて貰った所で、次はバンドについて話を始めた。
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