結成

3/42
前へ
/56ページ
次へ
二人は静かに給食を食べる。何の会話も無く、少し拍子抜けした感じだ。 「なぁ……」 この場の空気をどうにかしようとしたが、瑞生は「待て」とでも言うように、手を広げた。 ガツガツと食べる瑞生に、俺は呆然と見つめる。喉に突っ掛かりそうに何度もなったが、その度牛乳で流し込む。 そして漸く食べ終わった瑞生は、俺の頭を軽く叩いて来た。 「何すんだよ」 「食事中に喋りかけるんや無い!マナーがなっとらんな」 「堅い奴だな」とでも言うような目をして睨むと、瑞生は同じような目で返してくる。 「食事は生きる為のマナーや。残飯なんか絶対に駄目や。作ってくれた人に感謝の気持ちを込めて、食べなきゃいかん!」 まるで親父に怒られたような気分になった。でも、懐かしい感じがする……。親父に怒られたのなんて、どれだけ前だろう。親父が死んでから8年。怒られるのが新鮮に感じた。 「そう言えば、何でお前関西弁なんだ?関西出身か何か?」 すると瑞生は、人差し指を横に振る。口で「チッチッ」等と擬音まで付ける所が子供らしい。 「何や……。何か気安く話しやすいやろ?ノリって奴や」 「ふ~ん」 聞いといて何だが、それしか言葉に出ない。俺も関西弁にしようか……。 俺が気になった事を、取り敢えずありったけ質問する事に決めた。 何組なのか、好きな食べ物、特にバンドについては触れたかった。 組も教えて貰った所で、次はバンドについて話を始めた。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加