…川(吉川都のダム底)…

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シフトレバーの所へ…置いた携帯電話が光を放っているのに、サイドミラーに反射する淡い碧色で気付いた。 また陽子からかと…手にした携帯には「祐治」と表示されていた。 永遠に続くような高速を照らすオレンジの外灯に目を向けたまま…通話ボタンを押した。 耳に…携帯を近付けた。 懐かしい…心の底が熱くなる様な祐治の声が低く聞こえた。 次の瞬間、外灯の光が大きくぼやけた。 フロントが大きく路肩へと向かい、反射的にハンドルをきる。 孤独な思いで握っていたハンドル…。 世界にたった一人になった様な孤独感を埋めるために向かっていた…夜の高速…。 空中に浮き上がってしまい、掴めなくなってしまった…心。 ……祐治。 …何故? 必死に頭にブレーキ、ブレーキと呼び掛けて、震える右足でブレーキを踏んだ。 路肩に斜めに停まった車。 耳にあてたままの…無音の…携帯電話。 脇を過ぎ去っていく車が…次から次へと闇の空間を切り裂き…車体ごと私を揺らす。 私の身体のすべてを…揺らす。
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