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「…よろしく、お願いします」
「そんな堅くならなくて大丈夫だよ~可愛いなぁ」
トクン。
胸が大きく脈打つような気がした。
なんだ今の、どこかで感じたことあるような感覚は……
「よし、じゃあ写真部の活動として…」
「?」
「桜が綺麗に撮れる秘密の場所、教えてあげる!」
肩に掛けていた大きいカバンから、カメラを取り出して飛びっきりの笑顔を向けてきた。
「で、でも、まだ正式に写真部に入ったわけじゃ…」
「堅いこと言って~もっと自由に気楽に生きようよ、ね!」
グイッと強引に腕を引っ張られる。
…手、小さいな。
「さー行こ~」
「近所迷惑ですよ、先輩」
「大丈夫、大丈夫!!」
口元が緩み、笑いが漏れる。
私が笑っていることに璃里先輩が気づくと、先輩は柔らかい笑みを浮かべた。
「うん、笑ってた方がやっぱりハヤちゃんは良いと思う」
「…そうですか?」
「そうですよっ」
どうしてだろう。
自然と出る笑みが、止まらないよ。
久しぶりに作り笑いじゃなく、素の自分で笑えた気がする。
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