4人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ…桜」
サァア…
という音と共に桜が風に合わせてこすれあう。
「撮っとけば?」
隣にいた友達の朱洲季 莱香(アカスキ ライカ)が、私の首にだらしなく掛かったカメラを指差し言った。
「…んーまだ空の色が微妙だからまた後で撮るよ」
「本格的だねぇ」
乾いた互いの笑い声が、早朝の住宅街に微かに響き渡る。
私、神瀬川 琶弥斗(カミセカワ ハヤト)は、今日でついに高校1年生となる。
夢は写真家かカメラマン。とにかくカメラを触ることが大好きだ。
「春だね…」
「…うん。そろそろ学校行こっか」
優しくソッと、莱香が私の腕を引っ張り駆け出した。
最初のコメントを投稿しよう!