春の桜と君の瞳

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「あ…桜」 サァア… という音と共に桜が風に合わせてこすれあう。 「撮っとけば?」 隣にいた友達の朱洲季 莱香(アカスキ ライカ)が、私の首にだらしなく掛かったカメラを指差し言った。 「…んーまだ空の色が微妙だからまた後で撮るよ」 「本格的だねぇ」 乾いた互いの笑い声が、早朝の住宅街に微かに響き渡る。 私、神瀬川 琶弥斗(カミセカワ ハヤト)は、今日でついに高校1年生となる。 夢は写真家かカメラマン。とにかくカメラを触ることが大好きだ。 「春だね…」 「…うん。そろそろ学校行こっか」 優しくソッと、莱香が私の腕を引っ張り駆け出した。
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