第一章 サークル活動①

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第一章 サークル活動①

「すみません。」  姫宮が振り向くと、見知らぬご婦人がいた。 「これから、慶長大学病院に、お見舞いに行くんですけど、ここは慶長大学病院ですか?」 「慶長病院は東京にあるはずですよ。ここは、横浜の校舎なんです。」  そこへ、松下優一郎が現れた。 「話は聞いたよ。買ったばかりのスマートフォンで、電車の経路を検索してあげるよ。」シャーシャーシャーシャー…。 「出た。ひめ、メモ帳に書いて。おれたちが東急東横線の日吉駅に送るから、そこから、渋谷行きの電車に乗ってください。番線を間違うと、目黒の方に行ったり横浜の中心地に行ってしまうから、注意してください。終点の渋谷駅で、JR山手線新宿方面行きに乗り換えます。黄緑色の電車です。深緑色に乗ると、埼京-湘南ラインだから大宮に行ったり、湘南の方へ行っちゃうから注意してください。山手線を新宿方面に行くと代々木駅があって、そこで、黄色の総武線千葉行きに乗ります。次は、信濃町駅で降ります。そこから徒歩1分だから改札口の駅員に聞けば、教えてくれますよ。ひめ、メモはOKね?反対方向の電車に乗ってはいけませんよ。」 「一人で行けます?」  姫宮は、メモ用紙をおばあさんに渡して、心配そうに尋ねた。 「一人で行ってみます。わからなかったら、駅員に聞きますよ。ありがとう。」 と、みんなに言った。 「お名前は?」 と、おばあさんが松下と姫宮に行った。 「松下です。」 「姫宮です。」 と、二人は答えながら、日吉駅に向かった。  日吉駅まで行くと、今度は、平成のシンデレラガールの望月冬美が現れた。ブランド物のサングラスをかけていたが、松下にはすぐに分かった。
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