第一章 サークル活動①

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「ひめ、知らないの?冬美は、今はアラブの石油王の2番目の側室だよ。」 「ああ、そういえば、平成のシンデレラガールというのを古い新聞で見た、見た。」 「おれ達も頑張ろうぜ。」 「うん。頑張る。石にかじりついてでも。」  姫宮は一度、越後大学理学部を中退した記憶があるので、力強く心に念じた。姫宮が国公立大学の越後大学を中退したのも、松下に会ったのも、姫宮にとって脳裏に刻まれ、動かし難い記憶となっている。 「ひめ、教職課程取る?」 と、松下は聞いた。 「取る。松下さんと同じように、中学と高校、両方ね。」 と、姫宮は自信を持って答えた。松下は、明義大時代にすでに中学と高校の理科の教員免許を取得していた。  松下は、 「あれはいいよ。履歴書の中でも光るからね。高校だけだけど使い物にならないというか、特に私立は、中学・高校の両方ある人を募集している学校が多いよ。おれは、中高一貫の女子校に入りたかったんだけど、面接でだめだった。」 と、言った。松下はかつて、公立の田畑中学校と柿沢中学校の代用教員をしていたのであった。 姫宮は言った。 「おれ、情報処理の方に行きたいんだよね。」 「慶長の情報工学科に行けば?」  松下は軽く言った。
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