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手当たり次第に辺りを見回す。
僕はある物を探していた。
しかし目当ての物は見つからない。
「あー…」
ボロボロの身体を動かして、ズボンのポケットに手を入れる。
コツッと固い物の感触。
「これでも良いか…」
取り出したのは僕の携帯。
今時、二つ折りの携帯なんて珍しいが僕はタッチ式は好きになれず、今でも携帯は旧式を使っている。
その携帯を両奥歯でしっかり噛む。
左腕で折れた右腕を掴む。
「ハッ…ハッ…!」
息を荒げ、左腕に力を込める。
そして、勢い良く左腕で右腕を戻した。
「ぐがぁぁあああアアア!!!!」
自分自身から人とは思えない絶叫が飛び出した。
しかし噛んだ携帯のおかげで舌を噛み切る事は無い。
骨折した場所を戻さなければ成らない時は、物を噛んでおく方が良い事を知っていたからね。
「ぐ……うっ…!」
噛んでいた携帯を地面に吐き捨て、右腕を左手で支える。
今気付いたが、右腕以外に大きな怪我は無い。
「と言うかここ何処だ…?」
と、竹林から何かが走る様な音がする。
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