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その跡には所々赤黒い液体が残っていた。
そう。
人間の血液だ。
「………っ!?」
息を飲んだ妹紅はその跡を辿り始める。
随分長く引きずられた様で、地面の跡はかなり続いている。
ふと妹紅が視線を地面から竹林の奥に向けると、
血まみれの少年が一本の竹に身を預けて死んでいた。
「The・事故者!?」
口から飛び出した言葉を無視して、妹紅は少年へと駆け寄る。
「おい!しっかりしろ!!」
「……ぅ」
妹紅が肩を抱いて声をかけると、少年は弱々しく息を漏らした。
死んでいた訳では無いようだ。
「酷い傷だ…。即死でもおかしくないぞ……」
身体の至る部分が裂け、身体を紅に染め上げた少年は、いつ死んでもおかしくない状態。
妹紅の迷いは一瞬で、服が汚れるのも構わず少年を背負う。
そして少年に負担を掛けない、なお且つ自分が出せるトップスピードである場所に走り出す。
憎き宿敵の住む場所。
永遠亭を目指して。
† †
八意 永琳は、おかしな事もある物だ。と考える。
姫様の敵である妹紅がこの永遠亭に躊躇なく入って来た事が、だ。
「まぁこんな状態の人間を担いで来れば無理もありませんが……」
永琳の視線はベッドに横たわる少年に移る。
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