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「へ、へ、へっくしょん!!」 「漫画みたいなくしゃみありがと。 ってか、まだ春になったばっかりだというのに飛び込みバカがどこにいるの? ああ、ここにいたわね。」 「すいません」 びしょ濡れで入ってきた琉央は当然教室から追い出された。 ジャージ姿で帰ってきた琉央をまっていたのは、女友達の上條あげはの嫌味だった。 「風邪、うつさないでよね」「へいへい、」 「ったく、分かってんだか」 あげはは、まだ嫌味をぶつぶつと言っている。 琉央はそれを適当に聞き流しながら窓の外を見た。 「庸にぃ~」 「おぉ、元気だな」 琉央の視線の先には、中庭の男の人がどこかのクラスの女子生徒としゃべっている光景だった。 「って、聞いてるの?あ、庸にぃじゃん。あいかわずの人気者ことだと」 あげはは琉央の視線の先にいる男の人を見て言った。 男の名前は、狗城 庸輔(くじょう ようすけ)。年は27歳でこの学校の用務員さん。兄貴タイプで若い彼は「庸にぃ」と呼ばれ、男女関係なく慕われている。 「あっ、こっち見た」 女のコ達との会話が終わったのか、庸輔はこっちを見た。琉央はそんな庸輔とばっちり目が合ってしまった。 庸輔はヒラヒラと手を振ったが、琉央は目をそらした。 そのかわりにあげはが手を振り返した。 庸輔はフッと笑い去ってしまった。 「あーあ、庸にぃ行っちゃった」 あげはは手を振っていた手を下しそう言った。琉央は窓の外をちらっと見たが、もう庸輔の姿はなかった。 「なんで、庸にぃとは仲悪いくせに、無愛想な狗城弟とは」 「琉央、」 「噂をすれば、」 あげはの言葉を遮った犯人はドアのとこに寄りかかって立っていた。 「恵、」 琉央は自分のことを呼んだ彼ー狗城 恵輔(くじょう けいすけ)のところへ歩いていった。 「なんか、上條ににらまれてんだけど。なにアイツ」 「さあ?で、どうした?」 「今日、ちょっと遠い海岸行くんだけど行く?」 「行く、行く」 んじゃ、放課後と言って恵輔は自分の教室へ帰っていった。 恵輔と庸輔は兄弟で、兄の庸輔と違い恵輔は無愛想だと言われる。親友である琉央にとってはそんなことはないんだが。 「琉央、。次、移動教室だって」 「はいよ」
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