月夜のある晩

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 仙人になるというのは魅力的だ。思い通りに時間を操作することもできるだろうし、仕事をあっという間にすることが出来るかもしれない。しかしそれでもぐっとこらえた。いかんいかん。家はもうすぐだというのに、ここで何を時間取られているというのか。 「すみません。とても惜しいのですが、私は早く家に帰らなくてはならないのです。それでは」  仙人を振り切って男はやっと家に帰ってきた。 「おかえりなさいあなた。今日は遅かったのね」 「ああ。でも早く帰ってきて、自分のかわいい子供の寝顔を見たかったからね」
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