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本番が近づくに連れ、レッスンも厳しくなったが、僕には余裕だった。
へへっ。僕、運動神経だけは良いからね。
共に練習したり過ごしていく内に、メンバーとの溝が無くなっていく…そんな感じがしたんだ。
これが、一体感ってやつか…
だから本番前日に、僕は緊張している皆を励ましたんだ。
「ようやく本番だね。僕の初デビューなんだから、もっともっとやる気出していこうよ!」
そう言った途端、皆の心が一つになるのを感じたんだ。
メンバーの緊張感が殺気に変わり、僕が別の意味で緊張する羽目になったからね。
僕の勘違いだったみたいだね。てへっ。
そして、いよいよ本番。
今思えばリハーサル中も、何かと白い目で見られていた気がするよ
お約束の様に、司会者の人が
「今日は、新メンバーが初登場というこで、どんな子か楽しみですね。」
と言っているのが聞こえた。
アイツ、何言ってんだ?
リハーサルで会ったじゃんか?
メンバーに同意を求めたが、本番直前を前に凄まじい緊張感だった為に無視された。
今思うと、あれは殺気だったのかもしれないな。
「それでは、A〇Bの皆さんお願いします。」
司会者の声を合図に、音楽が流れてくる。
そこへ、煙が吹き出す演出と共に、僕達が登場した。
ヤバイ…
今の僕……
物凄く、カッコいい!!
歌って踊りながら、僕は叫びたいほどに心が高揚したんだ。
うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!
心の中で吠えたつもりだったのに、歌の途中で叫んでたみたいなんだよね。
僕も一本取られたよ。
その時の他メンバーの顔ときたら、汚物を見るような目で見てたよ。
それなのに、まるでアドリブだったかのように歌も踊りも続けていたのは、さすがにプロだねと思ったよ。
勿論、僕も中断せずに最後まで歌ったよ?
流石、僕。
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