よん

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「どういうこと?」 頭を下げたままの左之助に問いかけると、左之助はあたしから目を背けて、話し始めた。 あたしが倒れた原因と、タイムスリップの副作用についてを。 「でも、俺には、それしかなかったんだ! お前を助けるにはっ…それしかっ……!」 泣いている左之助に、何の感情も湧いてこなかった。怒りはあるわよ。もちろん。こいつのせいで死にかけて、足も…。 何もかもを奪われた。こいつらのタイムスリップに対する判断は正しいとは思えない。 だけど、伝わってくる。あたしを守ろうとしてくれたことが。 いろんな気持ちが交錯して、何の感情にもならない。 気付いた自分の気持ちも、とても口にはできない。 「……あなたに、会いたくない。」 「え…。」 「今、あんたの顔見たくないって言ってんのよ!!放っといて、どっか行ってよ!!」 ダン! 拳を床に打ち付けると、左之助は何も言うことなく部屋から出て行く。キャパオーバーしたあたしは、拒絶することしかできなかった。 「誠花、今のは…。」 「うるさいわね!あんたも出て行ってよ!もう、ひとりにして!!」 「ごっ、ごめん。」 藤堂さんも追い出して、ひとりになった途端、どうしようもない熱いものが、心の奥からこみ上げた。
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